こんにちは。大阪で自己否定の問題や人間関係の悩みを解決するお手伝いをしています、心理カウンセラーの喜多村純子です。今年ももう10月半ばを過ぎて1年の終わりの音が。毎年思う事ですが、年を取るごとに1年が早くなるなぁとこの季節になると思います。
皆さんはどうでしょうか?そんな気持ちになったりしませんか?
さて今日のテーマは。何でも自分が悪いと思ってしまう、自分を責めてしまいやすい人達の心理と、その原因と解決方法についてのお話です。
何でも自分が悪いと思う心理
例えばこんな例を想像してみて下さい。
A子さんはある日、上司に仕事について怒られました。A子さんにはその仕事について、怒られる理由はないという自分なりの自負がありました。いつも通りの仕事をきちんと手順を踏み、間違った事はしていなかったからです。
ですが、その日少しばかりムシの居所が悪かった上司は、その苛々もあってA子さんにいつも以上にきつく、必要以上に責めるように叱責し、「どうして君は謝らないんだ!」とA子さんがもの言いたげな表情を見せていることに更に怒り、責めたてました。
結局A子さんは本当は謝りたくはなかったものの、その場を収めるために仕方なく上司に謝罪をし、その場を収めるという対応でその場をおさめました。もちろん、納得はしていませんでしたが、その場をおさめるためだと大人の対応を取ったのです。
この時点ではA子さんは自分の仕事に自信があり、怒られる筋合いはないこと、上司の怒りは理不尽であることをちゃんと理解していました。当然ですが不愉快さもちゃんと感じており、上司の理不尽さに対してきちんと正当な怒りを感じていました。
ところが・・・
どうしたことか、時間が経つとだんだんA子さんは不安になっていったのです。
本当は私が悪かったんじゃないだろうか・・・・・・
自分が理不尽を感じたこと、不当に怒られた事に対して正当な怒りを感じた事をだんだん自分自身が疑い始めてしまったのです。そしてA子さんはネットで「上司 怒られた 対応」などの検索ワードで色んな事例を調べ、自分のとった行動の検証をし始めました。
本当は私が間違っていたんじゃないだろうか・・・・・
そんな不安を感じながら。
正当に怒れない、嫌を消してしまう
これはあくまでも例の話です。ですが、これは自分を責めすぎてしまう、自分を悪いと思いやすい人達によくある行動だったりするのです。A子さんはネットの検索と言う手を使いましたが、人によっては周りの人たちに相談して意見を求めまくるという人もいるでしょう。
それは何故か?
自分の考えに自信を持つ事を止めて来たからです。
そして自分の素直な感情にも許可を出してあげられていないからです。
本来人間は嫌なことをされたら怒る、不快を感じる、それは当たり前のことです。その嫌は自分自身の内側で起きるものですから、周りからその嫌を批判されたり否定されるものではありません。
嫌なことを嫌と思う事、嫌な対応に不快を感じる事、それは個々人の心の正当な権利なので自由なもの、誰かに遠慮するようなものではありません。
ですが、A子さんのようなタイプの人は自分がイヤだと感じることを心の奥底でずっと禁止しています。
自分の感情を感じたままに素直に感じることを禁止し、罰しているのです。
私は間違えているという無意識の呪文で自分を縛りながら・・・
私は間違っているという呪いはどこから来たのか
A子さんのような方は幼少期に非常に厳しい両親に育てられていたり、特に自己愛気質の親に育てられていたりするという事が実は多いのです。
自己愛気質の人は相手を責めるのがスタンダードですので、子供との間で何かが起きた時、自分が不愉快な気持ちになった時などに正当な理由なくお前が悪いというメッセージを子供に与えがちです。
- 俺を不愉快にしたお前が悪い
- 私を怒らせたあなたが悪い
- お前がこんなことをしたから私は怒ったんだ
などです。
そしてその自分の怒りの表現方法として
- 子供が謝るまで許さない
- 子供が謝っても許さない
- 自分の機嫌が直るまで怒りつづける
- 自分の機嫌が直るまで無視し続ける
などの行動を取ったりすることも良くあります。
親からのこうした対応が続くと、子供は謝っても許されないけど謝り続けるしかない、その謝り続けている自分の言葉にだんだん洗脳されて
- 私が悪い
- 親をこんなに怒らせる私はダメな悪い人間なんだ
- 私が感じる事は間違いなんだ
- 私がやることは間違いなんだ
と思い込むようになるのです。これが呪いです。
この呪いの感覚を持っている人は普段から自分の感情や考えに自信を持てなくなりがちです。特に、相手がいる問題において、自信が持てない、不安な感覚を感じやすくなります。
こんなこと思って良いのかな・・・
あんなこと言って良かったのかな・・・
そんな言葉を呟きがちになるのです。
だから、A子さんも、本来ならば上司の理不尽な怒りに対して「嫌だった」と言う感情で終わらせればよかったことを、自分の感情に自信がもてないために不安が起き、その不安と罪悪感からネットで「上司 怒らせた 対応」と言う言葉で検索しまくるという行動を起こさせたのです。
解決する為に必要なこと
この自分の感覚や意思に自信が持てないという問題は、幼少期のトラウマが関係している事も多く、なかなか意識だけを変えるだけでは難しいことが多いものです。
そうしたトラウマのケアには、親からの不当な扱い、理不尽な態度に対しての自分の心をひとつずつ感じなおすこと、怒りだけではなく悲しみも寂しさも色んな感情をきちんと自分で感じなおしてあげることがまず必要です。
それが自分で自分を癒すということだからです。
私は本当は怒っていたんだ
私は本当は悲しかったんだ
私は本当は悔しかったんだ
私は本当は寂しかったんだ
と、自分の中で誤魔化し消してきた沢山の感情を、自分の手でもういちど感じなおしてあげること、そしてどんな感情も自分の中にあっていいんだよと受け入れてあげることで自分を取り戻していくのです。
そしてその感情処理と同時に、自分が感じることは誰にも邪魔されるものではないこと、心の中の自由は誰にも踏みにじらせる必要はないこと、嫌なものを嫌と感じるのは人間として当たり前であること、自分は間違っている人間じゃないということをひとつひとつ認知のゆがみを整えていく、新しく認知を学びなおしていくことも必要です。
この回復過程は時間をかけて感情処理と認知の整えを丁寧に行う事が大事です。それは、折り紙を一枚一枚重ねるような地道な作業です。一気に変わるということは難しいものです。
ですが、そうやって丁寧に自分の気持ちを受け止める作業を続けて、自分の気持ちを確かめる癖をつける、そうしていくと自分で自分の感情と行動と向き合えるようになり、積み重ねてきた時間があなたの自信となって自己肯定感が自然に育っていくようになります。
そうして自己理解と心の成長が進んでいくと、不思議なものですが好ましい相手とそうではない相手、の区別が感覚として出来るようにもなっていきます。きちんと嫌を感じその嫌を大事に出来るようになると、快も感じやすくなりその快を大事に出来るようになるからです。
そうすると結果的に緩やかにあなたの周りの世界は快が増え、心地よいもので満たされていくようになり、生きやすい世界を自分で作っていけるようになるんですね。人間関係の悩みや生き辛さの問題はそうやって時間をかけて丁寧に解決していくことがベストです。
ぜひ、私もOK、あなたもOKの優しく穏やかな世界であなたも生きられますように。いつでもご相談頂ければ嬉しいなと思います。