承認欲求は悪いもの?~虎と翼から考察する心理~

こんにちは。心理カウンセラーの喜多村純子です。大きな台風が来ていましたが、皆さまのお住まいでは被害は大丈夫でしたでしょうか?

さて。私は今放送中のNHKの虎と翼にハマっているんですが、皆さんはご覧になっていますか?あの虎ちゃん、ほんとに良いですよね。何と言っても台詞がどれも素晴らしい。こんな風に人と関われる人になれたら良いなぁと、心の中で目標にしています。

そんな虎と翼の昨日の回で。少々ネタバレにはなりますが、ともこが家族のようなものとして一緒に暮らすことになった、お相手の航一さんの長女のどかが、同居する事になったともことその娘に対する思いをぶちまけるシーンがありました。

みんな、この2人を見てる!!!と。それが嫌なんだ!!!と叫んだシーンです。

あのシーンを見た時に、この脚本家は素晴らしいなぁと、このセリフを聞いて私は思いました。
それは、なにが嫌なのか、2人に対してどんな怒りが自分に起きたのか、のどかに言葉にさせていたからです。

心理セラピーやカウセリングに来られる方の多くは、自分の感覚(嫌な感覚)には気付いているものの、それが何が原因なのか、そしてその感覚がどんな言葉を自分に伝えているのか、が分からない人がほとんどです。

上司や知り合いにいやな言葉をぶつけられた、その後で不快な感覚が起きた、嫌な気持ちになったという場合であれば、比較的感情と出来事は紐づけやすいのですが

なにも自分が攻撃されたわけでもなく、なにか特別に嫌な目にあったわけでもない。でも、なにかが身体の中で反応する、心がひりひりする・・・こういうことはよくある事だと思いますが、人はついその小さな自分の反応をスルーしがちです。

でも、その小さな体の反応をスルーせずに、自分はこの場所にいて、この人達といて、どんな気持ちになっているのか?と自分の内側に聞いてあげる癖をつけることは実はとても大切なのです。

この癖付けが出来るようになると、先ほどののどかのように

  • 私は寂しいんだな
  • 私は見て欲しいんだな
  • 私は羨ましいんだな

と言う風に、自分の感覚に言葉が紐づけられるようになっていきます。

この自分の感覚を表現させてあげる言葉を持つと言う事が心の癒しで非常に大事な事なのです。

ちなみにですが、私もこのシーンで自分の内側の反応に気付きました。
プロフィールにも書いていますが、私は3人兄弟の長女で下ふたりは年が離れていたので、下に妹が生まれ、弟が生まれた時に、自分の居場所を取られたという感覚になったんですね。ずっとひとりっこ状態で、自分だけに集中していた親を取られた!と感じたし、自分よりも小さな兄弟たちを可愛がる両親の目に、羨ましさと嫉妬を感じたものです。だから、あの「みんなこの2人を見てる!!!」と叫んだのどかの台詞が非常によくわかるなと思いました。

私を見て!と言う欲求は、承認欲求と言われるもので、強すぎると良くないと言われることも多いです。
確かに強すぎる承認欲求は自分を苦しめることが多く、様々な問題を引き起こすのは事実です。

しかし、承認欲求とは必ず誰の中にもある欲求です。人に見てもらいたい、自分の存在を受け入れてもらいたい、承認されたい、それは普通の人間の中にある普通の気持ちです。無くせるものではないし、無くす必要もありません。

これを、自分の承認欲求を否定して良くないものだと断じたり、承認欲求が爆発してるんだと言って抑圧する方が心が苦しくなってしまいますし、逆に自己否定を強化してしまいます。本来、心理学とは自分をよりよく生かすために、自分自身を肯定し、生き辛さを生きやすさに変えていく為に学ぶものだと私は思っています。

話はそれましたが、大事な事は何でも気付いた時はチャンスの時だと捉えて欲しいのです。

自分の中に承認欲求が出てきたら、あー今、認められたい気持ちが出てるんだな、そかそか、と受け入れてあげればいいだけです。職場で褒められている同僚を見て嫉妬心が出たり、ドラマを見て映画を見てふいに涙が出てきたら、気付けたことを喜んで「そうかー」と言って受け止めてあげるだけでいいんです。

何も否定する必要はありません。

感情であれ欲求であれ、必ず何かのトリガーがあるからこそ反応が起きます。何もないのに怒りも悲しみも湧き出ては来ません。必ず何かの原因があり、何かしらのトリガーがそこに存在しています。

そのトリガーになったものをちゃんと見てあげること、受け入れてあげることが自己肯定であり自己受容です。
私の中にはこの反応があるんだな、私はこういう出来事に反応が起きるんだな、こういう出来事に腹が立つんだな、こういう出来事に悲しくなるんだな、と感情と出来事を自分の手で繋げてあげることです。

そして、その時に自分の中で出来た図を否定しない事も大事なポイントです。感じたものを心の中で感じるのは貴方の自由であり、どんな感情も感覚も人間だからあって当然のものだからです。
そうやって自分自身を理解し、感情を理解し受け入れていくことで自分で自分を癒すことができるようになっていきます。

ドラマや映画や小説はそうした自分の心の反応に気付く良いきっかけになります。ぜひ、そういう視点でもドラマや映画などを見てみると自分への発見があって良いと思います。

またこうした自分の内側との対話のしかた、癖付けのしかたなどについては10月からの連続セミナーの中でも詳しくお話していきます。ご自分の心を癒す方法や、人間としてのありのままの自分を肯定していく方法をお伝えしていきます。どなたさまでもお越し頂けますのでお気軽にお越しください。詳しくはセミナー情報からご覧くださいね。

それにしても、虎と翼はホント良いドラマですよね。久々にドはまりしているだけに終わってしまうのがほんと寂しいデス。ロスってしまいそう(笑)

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